防災は「特別な準備」ではなく、日常の延長にあるもの。
あかちゃんを育てている今だからこそ、家の安全を見直す絶好のチャンス。
例えば、授乳スペースの周囲に倒れやすい家具や重い物がないかチェックをしてみてください。
避難時に抱っこ紐をすぐ使える場所に掛けておくのも素敵な備えです。
日々の暮らしに防災意識を少しずつ取り入れることで、いざという時に慌てず行動できる力となります。

あかちゃんは自分で身を守ることができません。
だからこそ、備えは「大人の想像力」で補うことが大切です。
ミルクやおむつはもちろん、授乳ケープやブランケットなど“安心できる環境を再現できるもの”を意識して準備してみてください。
体温調整が苦手なあかちゃんのために、季節ごとの防寒・暑さ対策もどうぞお忘れなく。

防災備蓄と聞くと特別な非常食を想像しがちですが、日常で使っているものを“少し多めに持っておく”だけでも十分です。
ミルクは液体タイプを数本常備しておくと、断水時やお湯が使えないときにとても便利です。
湯冷まし用のペットボトル水も忘れずに。
離乳が始まる時期は、日々好んで食べるおやつや離乳食などもストックできていると助かることと思います。
離乳食が進む時期や消費期限が近づいたら日常で使って入れ替える“ローリングストック”をすることで食品ロスの削減につながりおすすめです。

おむつは最低でも3日分、余裕があれば1週間分を目安にしてください。
ワンサイズ上のものを1パック備えておくと、成長に合わせて柔軟に使えます。
おしりふきやビニール袋、手指消毒ジェルもまとめて収納。
避難時には、他人の目を避けておむつ替えできるよう、バスタオルや小さな布も一緒に入れておくと安心です。

地震の揺れで家具が倒れたり、物が落ちたりする場所にあかちゃんを寝かせていませんか？
寝具やベビーベッドの位置を確認し、危険物を遠ざけておきましょう。
あかちゃんが寝ているところに自分も横になり周囲を見上げてみると危険なものが見えてくるかもしれません。
夜間の停電時にもすぐ行動できるよう、足元や頭元に懐中電灯を置いておくのもおすすめです。

一般的な防災セットには、あかちゃんに必要なものが十分に含まれていないことが多いです。
ガーゼ、哺乳瓶用の洗浄シート、使い捨て哺乳瓶や紙コップ、授乳ケープ、そのまま食べられるレトルトの離乳食や食べなれたおやつ、離乳中の飲み物などを揃えて、家族構成に合わせて中身を追加したり使用しながら確認してください。
母乳育児中の方も、授乳環境の確保を考えて“自分の体調を守るグッズ”も追加してみてください。

災害時にどこへ避難するか、家族で話し合っておくことが重要です。
近隣の避難所だけでなく、親戚や友人宅など“複数の避難先”を想定しておくと安心。
スマホが使えない場合に備えて、紙に連絡先を控えておくとさらに安心です。
持ち出し袋の中身も定期的に確認を。

月に1回、家族で“防災ごっこ”をしてみましょう。
停電を想定して懐中電灯で過ごしたり、非常食を食べてみたりするだけで、子どもも自然と防災意識を持つことができます。
あかちゃんが泣いたときの対処や抱っこのまま避難する練習も、実際にやっておくことで自信につながります。

防災は“完璧を目指す”より“できることから始める”ことが大切。
今日、家の中を見回して1つでも整えたら、それが大きな一歩。
次回の第2弾では「停電・断水のときの授乳・おむつケア」をテーマに、実践的な対処法を助産師の視点でお届けできたらと思っています。

かりゆし助産院では、地域の子育て世帯や保育施設向けに「あかちゃんを守る防災セミナー」「災害時の授乳支援」などの出前授業や健康企業経営セミナーを行っています。
実際の防災グッズ体験や、避難所での授乳スペースづくりのポイントも紹介。
防災を“家庭での安心づくり”に変えるサポートをいたします。
ご希望の施設・団体さまはお気軽にご相談ください。