避難所は多くの人が生活を共にするため、あかちゃんにとって過ごしにくい環境になりやすい場所です。
騒音や照明、気温の変化、慣れないにおいなどが刺激となり、泣き続けてしまうこともあります。
また、プライバシーが少ないため授乳やおむつ替えがしづらく、母親自身のストレスや疲労も大きくなります。
事前に「あかちゃんが安心できる空間をどう作るか」を家族で話し合っておくことが大切です。
自治体によっては、乳幼児や妊産婦向けのスペースを用意している避難所もあるため、平時から確認しておくと安心です。

避難所に着いたら、まずは授乳やおむつ替えができる場所を確認しましょう。
自治体が設けている「授乳スペース」「女性・乳児優先エリア」があれば活用し、ない場合は仕切りや布を使って簡易的にスペースを作ります。
おむつ交換の際は、使用後のおむつをすぐに密閉できる袋を用意し、においや衛生面の配慮を忘れずに。
授乳時には、周囲の視線が気になるときに使える授乳ケープがあると安心です。
ママ自身が落ち着ける環境を整えることが、あかちゃんの安心にもつながります。

停電や断水の影響で、お湯が使えない・清潔な水が不足する状況もあります。
母乳育児の場合は、ママの体調と水分補給が最優先。
水や経口補水液を必ず確保しておきましょう。
ミルク育児の場合は、「液体ミルク」が非常に便利です。
哺乳瓶が使えないときに備えて、使い捨ての乳首付きパウチタイプを用意しておくと衛生的。
哺乳瓶を洗う水がないときは、使い捨て哺乳瓶や、使った後に袋ごと捨てられるタイプもおすすめです。

避難所では、においや音、視線などが気になる場面も多いです。
おむつ交換は、人の少ない時間帯や隅のスペースを選び、布やブランケットで仕切りを作るだけでもプライバシーを保てます。
使用後のおむつは防臭袋に入れ、持ち帰り可能なゴミ袋を自分で管理するのが基本です。
また、おむつ替え時に使うペットシーツや防水マットがあると衛生的で、下に敷いて寝かせると安心です。
あかちゃんの肌を清潔に保つために、使い捨ておしりふきやコットン＋精製水を活用しましょう。

避難所の床は冷たく硬いため、あかちゃんを直接寝かせるのは避けましょう。
持ち出し袋に「バスタオル・ブランケット・銀マット」を入れておくと、簡易ベッドのように使えます。
気温が低いときは重ね着で調整し、夏場は通気性のよいガーゼケットやタオルで体温の上昇を防ぎます。
エアコンや扇風機の風が直接当たらないように注意しながら、こまめに肌の状態をチェックしましょう。

人が密集する避難所では、感染症対策が欠かせません。
あかちゃんの周囲を清潔に保つために、アルコールを含まない手指用ウェットティッシュや除菌スプレーを持参しましょう。
また、あかちゃん自身の肌を守るために、肌荒れ時に使えるワセリンや保湿剤を忘れずに。
タオルやガーゼは家族ごとに分けて使い、使い終わったものは密閉して保管します。
ママの体調が崩れるとあかちゃんのケアも難しくなるため、自分の睡眠と水分補給も優先して。

▢紙おむつ（多めに＋ワンサイズ上も）
▢おしりふき／コットン／防臭袋
▢授乳ケープ・哺乳瓶・液体ミルク
▢バスタオル・ブランケット・ガーゼ
▢着替え2～3セット
▢母子健康手帳・保険証のコピー
▢常備薬・体温計・保湿剤
▢ウェットティッシュ・ビニール袋
▢お気に入りのおもちゃ（安心アイテム）
これらは赤ちゃんの「安心」と「衛生」を守る最低限のセットです。

災害時には物資が届くまでに時間がかかることもあります。
おむつや衣類はワンサイズ上を1パック入れておくと、成長に合わせて使えて安心。
また、ミルク・離乳食・保湿剤などの「開封後にすぐ使い切れないもの」は、消費期限を確認しながら定期的に入れ替えましょう。
平時の買い物ついでにストックを確認しておく“ローリングストック”が、非常時にも役立ちます。

避難所生活は、家族みんなの協力で乗り越えるものです。
あかちゃんのためのスペースづくりや物資の管理を家族で分担し、日常の中で「もしものとき」を話し合っておきましょう。
次回・第4回では「防災を“日常の延長”にするコツ」をテーマに、無理なく続けられる備え方を紹介します。

かりゆし助産院では、あかちゃんの命を守る防災をテーマにした出前講座・子育て支援センター向けセミナーを行っています。
授乳・おむつケア・家庭の備えなど、地域の実情に合わせて内容をカスタマイズ可能です。
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