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先日、授乳についてお悩みだった訪問先のご家族の様子をふり返り、助産師として私なりに考えたことを、今回の記事にまとめました。

授乳は母乳が一番?完全母乳じゃないとダメ?

そんな思い込みに悩むママたちは少なくありません。

大切なのは母子ともに無理なく、安心して続けられる授乳スタイルを見つけること。

この記事では助産師の視点から、母子にやさしい授乳法をご紹介します。

授乳は「手段」であって「目的」ではない

授乳にこだわりすぎないという考え方

授乳は母乳であるべき、という考えに縛られてしまうと、お母さん自身の心身の負担が大きくなります。

実際、助産師として多くのお母さんと接してきた中で、母乳が思うようにいかないことで自分を責めてしまう方がたくさんいらっしゃいました。

ですが、母乳かミルクかという“手段”にこだわるより、「お子さんがしっかり栄養を摂れているか」「お母さんが無理なく育児を続けられているか」が重要であると日々感じます。

「お子さんが育つ」ことが一番大切

お子さんが健やかに育つために大切なのは、何を飲んでいるかではなく「どう育っているか」。

母乳を飲んでいても、体重が減ってしまっては本末転倒です。
母乳が出づらい・疲労が強い・吸わせるのがつらい…そんなときは、授乳の手段を見直すことも立派な育児の選択。

育児の“目的”はお子さんの健やかな成長であり、そこに向かう方法はひとつではありません。

健康な成長の目安を知る

母乳でもミルクでも元気に育つサイン

完全母乳にこだわらなくても、お子さんが健やかに育っているかどうかは、日々の様子からしっかり判断できます。

よく飲み、よく眠り、おしっこやうんちがしっかり出ている。
これらはすべて、お子さんが必要な栄養をきちんと摂れている証拠です。
体重が緩やかに増えていて、機嫌がよい様子が見られるなら、それだけで十分。

授乳の「かたち」にとらわれず、成長の「実感」を大切にしてみましょう。

助産師が見ている「成長の指標」

私たち助産師が成長を見るときには、以下のようなポイントを確認しています

・1日6回以上のおしっこがあるか(生後1か月以降)
・1日20〜30g程度の体重増加が見られるか(あくまでも基準・成長のスピードはお子さん個人個人で異なります)
・おっぱい/ミルクの飲みっぷりと満足度
・寝つきや目覚めの機嫌のよさ

数字だけに一喜一憂する必要はありませんが、これらの変化はお子さんからの大切なメッセージ。
過度に不安になる前に、定期的に専門職に相談しながら、赤ちゃんのペースを見守りましょう。

授乳スタイルは十人十色

母乳・ミルク・混合のメリットと注意点は、

・母乳:免疫成分が含まれ、お子さんとのスキンシップにも。

・ミルク:ママの体調が悪いときや預けるときに便利。栄養バランスも◎。

・混合:母乳とミルクの“いいとこどり”。状況に応じて柔軟に対応可能。

どの方法も、愛情が伝わる育児であることに変わりありません。現在の粉ミルクはとても高品質で、お子さんの発育に必要な栄養がきちんと含まれています。
また、最近ではアレルギー対応が考えられたミルクも様々できてきています。

ミルクを「補助」ではなく「選択肢」として考えてみるのも安心につながるかもしれません。

授乳に違和感があるときの対処法

身体的・心理的な違和感の正体

「吸われる感覚がつらい」「気分が落ち込む」「触られるのが嫌」
——授乳に対する違和感は、決してめずらしいことではありません。

特に産後はホルモンの変化も大きく、心も身体も敏感な時期。
D-MER(不快性射乳反射)のように、授乳時に一時的な情緒の落ち込みを感じる方もいます。

違和感を抱いたとき、それを“我慢”するのではなく“気づく”ことが大切だと思います。

無理しない授乳の選択肢

違和感を覚えたまま続けることは、お母さんの心身にとっても赤ちゃんにとってもプラスにはなりません。

ご自身で搾乳をされる方法で混合授乳を行う方法、母乳をお薬などで止めて完全にミルク授乳にするなどといった選択肢を取り入れることで、授乳の負担を減らし、赤ちゃんとの時間をより穏やかに過ごすことができます。

母乳への罪悪感を持たず、自分と赤ちゃんの「心地よさ」を優先した授乳こそ、長く育児を続けるうえで大切な視点です。

ミルク育児を味方にする

ミルクを取り入れるメリット

ミルクは決して“妥協”ではありません。
ミルクを上手に活用することで、お母さんの休息の時間が確保できたり、パートナーや家族が育児に関わりやすくなります。

例えば、夜間授乳を1回ミルクにするだけで、睡眠の質がぐっと向上するお母さんも多いです。
身体と心の余裕があると、赤ちゃんとの時間もより笑顔が増えます。
お子さんとママが笑顔でいられること。
それが授乳のいちばんのゴールです。

混合育児という柔軟な選択

母乳とミルクを組み合わせる混合育児は、状況に応じて量やタイミングを調整しやすい柔軟なスタイルです。

例えば、「昼は母乳、夜はミルク」「母乳後に足りなければミルクを追加」など、家庭の生活リズムやお母さんの体調に合わせて調整できます。

大切なのは、自分が納得して選んだ方法であること。周囲の声よりも、お子さんとお母さんの“ちょうどいい”を大切にしましょう。

サポートを受けながら、それぞれのご家族らしい授乳を見つけ、安心して育児を

周囲に頼る言葉の伝え方

「ひとりで頑張らなきゃ」と思いすぎず、周囲の力を借りることも大切です。
でも、「どう伝えればいいかわからない」という声も多く聞きます。以下のようなシンプルな声かけから始めてみましょう。

・「今日は少し休みたいから、1回ミルクお願いしていい?」
・「授乳がつらいときがあるの。ミルクの準備、お願いできる?」
・「夜だけでも、哺乳を代わってもらえると助かるな」
素直な気持ちを伝えることで、家族も関わりやすくなります。

お母さんの笑顔が赤ちゃんの安心に

育児の中心にあるのは、お子さんの成長だけではなく、育てる人の安定です。
お母さんが笑顔でいられることは、お子さんの心にも大きな安心感を与えます。
「休む」「頼る」「変える」といった行動は、決して逃げではありません。
それは母として、育児を長く続けていくための“力”なのです。

自分たちに合ったスタイルを選ぶコツ

授乳は「こうしなければいけない」ものではありません。
お母さんと赤ちゃんの数だけ、ちょうどいいスタイルがあります。
完璧じゃなくていい。迷いながらでも、あなたらしい育児のかたちを見つけていきましょう。

また、「このままでいいのかな?」そんな不安を感じるときは、一人で抱え込まずに助産師や母乳外来などを頼ってください。
きっと安心できるアドバイスがもらえるはずです。

「わたしたちのちょうどいい」を一緒に見つけませんか?

かりゆし助産院より、心からの応援を込めて。

かりゆし助産院は、みなさんの授乳ライフに寄り添うケアを目指します

母乳育児は、決して「自然にできて当たり前」ではありません。

「完璧じゃなくていい」「我が家のやり方でいい」と、肩の力を抜いて授乳スタイルを選んでみてください。

当院は、妊娠中の育児や母乳育児に関わる準備のご相談やお手伝いから関わらせていただきます。

特に、みなさんが授乳にお困りの際は、夜間・土曜・日曜や祝日も可能な限り早期に対応します。

また、ご連絡いただいた時点でご本人ができるケアをお伝えし、可能な限りお待たせする時間を短縮し訪問させていただくことで、母乳で授乳されているみなさんが困る時間を長引かせないようケアさせていただいています。

そして、混合授乳やミルク授乳で、ミルク量に悩まれているご家庭へは、お子さんの体重の増え方や哺乳後のご機嫌などを拝見しミルク量のご相談にも対応させていただいています。

訪問をお受けしている地域は、箕面市・茨木市・吹田市・豊中市・池田市です。

他の利用者様の対応中などは電話に出ることができません。公式LINEや当院ホームページのお問い合わせよりご連絡いただけますと助かります。