出産という大仕事を終えた後、ママのからだは劇的に変化します。
まず子宮は、出産直後にはおへそのあたりまで大きくなっていますが、徐々に収縮して骨盤内に戻っていきます。
この収縮に伴う痛みが後陣痛です。
また、子宮や膣から悪露（おろ）と呼ばれる出血が続きます。
これは、子宮内膜が剥がれ落ちることで起こり、徐々に色や量が変化しながら落ち着いていきます。
他にも、骨盤の開きや緩み、出産時の会陰切開や裂傷の傷の痛みや違和感も。
そして、母乳分泌に向けた変化による胸の張りなど、からだのあらゆる部分で変化が起こります。
これらの変化は、誰もが通る自然なプロセスですが人それぞれで異なります。
一つずつご自身のからだの状態を理解することが、不安を和らげる第一歩になります。

産後には、さまざまな痛みや不調が現れます。
後陣痛や会陰の傷の痛み、授乳による乳首の痛み、無理な姿勢による腰痛や肩こり、骨盤の緩みからくる股関節痛など、人によって様々です。
これらの不調は、ホルモンバランスの急激な変化や、出産時のからだのダメージ、そして慣れない育児による疲労が主な原因です。
また、夜間の授乳や頻回な抱っこで睡眠不足になり、心身ともに疲労が蓄積しやすくなります。
これらの不調は、からだが出産前の状態に戻ろうと頑張っているサインです。無理に我慢せず、痛みや不調を感じたら、からだを休ませることを最優先に考えてください。

産後6〜8週間の産褥期（さんじょくき）は、からだを休ませ、回復させるための最も重要な時期です。
この期間は、とにかく無理をしないことが大切です。
特に、産後1週間は、基本的に布団の中で過ごすようにしましょう。
食事や排泄以外は横になってからだを休め、あかちゃんの世話もできるだけ寝たまま行います。家事や上の子のお世話は、家族に任せるか、家事代行サービスなどを活用することも検討しましょう。
産褥期に無理をすると、悪露が長引いたり、産後のからだの回復が遅れる原因になります。この時期は「産後の肥立ち」を良くするために、自分を甘やかしてゆっくり休むことを心がけてください。

育児と家事を両立させようと頑張りすぎていませんか？
産後のママのからだにとって、完璧な家事は必要ありません。
家事のハードルを下げ、できることを少しずつ行いましょう。
例えば、食事は惣菜や宅配サービスを利用したり、洗濯はまとめて洗ったり、掃除はロボット掃除機に頼るなど、工夫次第で楽になります。夫や家族にも、育児と家事を分担してもらうことで、ママの負担は大きく軽減されます。
育児は予測不可能なことばかりですが、家事は計画的に進められます。
優先順位をつけ、育児を最優先にすることで、ママもストレスなく過ごせるようになります。

産後のママが抱える不安や不調を一人で抱え込まず、家族に共有することが大切です。
言葉にしなくても察してくれるだろう、と期待するのではなく、「しんどい」「手伝ってほしい」と素直に伝えましょう。
パパは、育児や家事のサポートはもちろん、ママの心の変化にも寄り添ってあげてください。
ママの気持ちを理解しようと努め、何気ない会話や感謝の言葉をかけるだけでも、ママは孤独を感じずに済みます。
また、実家や義実家、地域のサポートなど、頼れる人がいる場合は、遠慮せずに助けを求めましょう。
産後期間は、ママ一人で頑張るのではなく、みんなで支え合うチーム戦です。

体の不調や、育児への不安、精神的な落ち込みなど、一人で悩みを抱え込まずに、専門家に相談しましょう。
出産した病院や助産院の助産師は、産後のママの心と体の状態を理解しています。
母乳育児の悩みや体の痛み、産後うつの兆候など、どんな些細なことでも相談に乗ってくれます。
また、地域の保健センターや子育て支援センターなども、相談窓口として活用できます。
専門家の客観的なアドバイスは、ママの不安を和らげ、適切な対処法を見つける助けになります。

産後、元の体型に戻したいと焦る気持ちも分かりますが、急な運動は禁物です。
産褥期が明けたら、まず軽いストレッチや骨盤底筋を鍛える運動から始めましょう。
骨盤底筋を鍛えることは、尿漏れの予防にもつながります。
本格的な運動は、医師や助産師に相談してから、少しずつ再開しましょう。
また、疲労回復やリフレッシュのために、アロマバスやマッサージ、好きな音楽を聴くなど、自分を労わる時間を意識的に作りましょう。
セルフケアは、心とからだの両方を癒すためにとても重要です。

産後は、ホルモンバランスの急激な変化や睡眠不足、育児のプレッシャーなどから、精神的に不安定になりやすい時期です。
気分の落ち込みや、些細なことでイライラする、涙が止まらないといった症状が現れることがあります。
これらはマタニティブルーズと呼ばれる一時的な症状の場合が多いですが、長引く場合は産後うつの可能性があります。
そうならないためにも、一人で抱え込まず、積極的に周囲に頼り、自分の気持ちを言葉にすることが大切です。
また、あかちゃんの寝ている間に自分も休む、気分転換に外出するなど、心にゆとりを持つように心がけましょう。

産後のからだは、あなたがあかちゃんを産み育てた証です。
その変化を受け入れ、焦らずに自分のペースで回復していくことが何より大切です。
完璧なママを目指さなくても大丈夫です。
頼れる人には頼り、休みたい時は休む。
そうやって自分を大切にすることで、心もからだも健やかに回復していきます。
あなたのペースで、ゆっくりと、新しいからだと心と向き合っていってください。

かりゆし助産院では、産後のママとご家族が安心して過ごせるように、専門的なサポートを提供しています。
母乳育児相談や、あかちゃんのケア、産後の心とからだのケアに関する個別相談も承っております。
お一人おひとりの状態に合わせて、きめ細やかなサポートをさせていただきます。
何かご不安なことがございましたら、お気軽にご連絡ください。
私たちはいつでも、あなたの心とからだに寄り添い、サポートいたします。
また、10月に豊中市のキラリきっずを舞台に新たな産後のご家族をサポートするサービスを準備しております。
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