今の育児には、昔にはなかった便利グッズがたくさんあります。
高機能な抱っこ紐やベビーカー、自動調乳器、おむつ専用のゴミ箱など、育児の負担を大きく軽減してくれるアイテムが豊富です。
昔は「抱っこ紐は布一枚」「おむつは布で手洗い」が一般的でした。
当時は手間暇をかけることが愛情表現の一つでもありました。
そのため、親世代は「楽をしすぎているのでは？」と感じることがあるかもしれません。
しかし、これらのグッズは、ママ・パパが心身ともにゆとりをもって育児をするための大切なサポートツールです。
グッズに頼ることは決して手抜きではなく、より良い親子関係を築くための工夫であることを理解しておきましょう。

「昔はこうだった」という言葉の背景には、ほとんどの場合、悪気はありません。
むしろ「自分たちが苦労したから、同じように苦労してほしくない」「この方法でうまくいくはず」という良かれと思っての親心が含まれています。
自身の経験からくるアドバイスは、親世代なりの愛情表現なのです。
例えば、「離乳食は手作りが一番よ」という言葉には、「愛情を込めて作ったご飯が子どもの成長を促す」という思いが込められています。
この気持ちを汲み取ることが、モヤモヤを和らげる第一歩になります。
言葉の表面だけでなく、その裏にある気持ちに目を向けることで、感情的な衝突を避けることができます。

時代は常に変化しており、昔の常識が通用しなくなることに、親世代は戸惑いを感じることがあります。
自分たちの経験が否定されたように感じたり、「自分たちの時代はもっと大変だった」という経験への誇りが、無意識のうちに言葉になってしまうこともあります。
たとえば、「夜泣きは抱っこで乗り越えるもの」という考えは、当時の育児を懸命に頑張ってきた証です。その経験を否定するのではなく、「お母さんたちは本当にすごいね！」と、一度受け入れてみましょう。
そうすることで、親世代の気持ちに寄り添いながら、現代の育児に対する理解を深めてもらうきっかけを作ることができます。

親世代からアドバイスをもらった時、ついカッとなったり、反論したくなったりすることもあるかもしれません。
しかし、感情的に反発すると、かえって関係が悪化してしまう可能性があります。
まずは「教えてくれてありがとう」と、アドバイスを受け止める姿勢を見せることが大切です。
その場で「それは違う」と否定するのではなく、感情的に難しいことではありますが「なるほど、そういうやり方もあるんですね」と一旦受け入れることで、相手の気持ちを尊重していることを示せます。
感情的な衝突を避け、冷静に話を進めるための時間と心の余裕を持つことが重要です。

アドバイスを受け止めたら、感謝の気持ちを伝えた上で、今の状況を丁寧に説明しましょう。
「教えてくださってありがとうございます。ただ、今はこういう風に教わっていて、私たちもこのやり方が合っているみたいなんです」と伝えることで、相手を否定することなく、自分たちの考えを主張できます。
例えば、「昔は湯冷ましを飲ませた」と言われたら、「ありがとうございます。今は母乳やミルクだけで水分補給は十分と言われているので、このままで大丈夫なんです」と 穏やかに伝えます。
これにより、相手の気持ちを尊重しつつ、現代の育児法への理解を促すこともできます。

親世代は、子育ての経験があるからこそ「力になりたい」と思っています。
しかし、頼られる機会が少ないと、「自分は必要とされていない」と感じてしまうことがあります。
そこで、子育てに関する具体的なことで積極的に頼ってみましょう。
「お母さん、この服のシミの落とし方、昔どうしてた？」「パパ、このおもちゃの組み立て方、手伝ってくれない？」など、小さな頼み事でも構いません。
頼られることで、親世代は「自分も役に立てるんだ」と実感でき、子育てに関わることへの喜びを感じやすくなります。
これが良好な関係を築くための第一歩なのだと思います。

親世代に「昔と今は違う」と一方的に伝えるだけでなく、現代の育児を「共有」してみましょう。
最新の育児書やウェブサイトの記事を一緒に読んだり、ベビーグッズの便利さを実際に体験してもらったりするのも良い方法です。
例えば、抱っこ紐の快適さを体感してもらったり、搾乳器がどれだけ時短になるかを目の前で見てもらったりすることで、百聞は一見にしかず、現代の育児への理解が深まります。
また、育児アプリで子どもの成長を共有するなど、テクノロジーを味方につけることで、親世代も新しい育児のスタイルを受け入れやすくなります。

親世代の育児アドバイスの中には、現代の育児にも役立つヒントが隠されていることがあります。
例えば、「お風呂は短時間で済ませる」という知恵は、子どもの体を冷やさないための大切な工夫です。
逆に「新生児の時にベビーフードはありえない」という考え方は、現代の多様なライフスタイルには合わないかもしれません。
大切なのは、親世代のアドバイスをすべて鵜呑みにするのではなく、「いいとこ取り」のスタンスでいることです。
自分たちの育児スタイルに合わないと感じたことは、感謝を伝えつつ、心の中で「スルー」する勇気を持ちましょう。

親世代との関係は、夫婦で足並みをそろえることが前提です。
どのアドバイスを受け入れ、どこは譲れないかを事前に話し合っておきましょう。
意見が一致していれば、どちらかが矢面に立つ必要が減り、精神的負担も軽くなります。
また、会う頻度や、育児に関わる範囲をあらかじめ決めておくと安心です。
例えば、「お風呂は夫婦で担当」「離乳食は最新の方法で進める」など具体的に決めると、余計な摩擦を防げます。

かりゆし助産院では、育児中の親御さんと親世代双方が安心できる関係づくりをサポートしています。
ご家族皆さんで子育てに向き合えるよう、さまざまな形でサポートしています。
もちろん、子育ての主役であるママとパパのお話をじっくり伺い、個別の育児相談や心身のケアを行うのは大前提。
それに加えて、おじいちゃんやおばあちゃんだけでお話を伺う時間も設けることができます。
親世代が抱える「昔のやり方と違うけど、どうしたらいいの？」という戸惑いや、「こんな風に手伝いたい」という気持ちに耳を傾け、現代の育児との良い接点を見つけるお手伝いもします。
また、家族全員で話せる機会を設け、お互いの気持ちや考えを共有するサポートも可能です。
時代が変わっても、子育てを心から楽しみたいという気持ちは同じ。ご家族みんなが笑顔で子育てに向き合えるよう、ぜひお気軽にご相談ください。