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「性教育って、教えるから性的な興味を刺激して性行動を早めてしまうんじゃない?」

「あかちゃんに性教育って、まだ早いんじゃない?」

「性のことを自分も習ってないのに、何をどう子どもに教えればいいの?」

そう思われる方も多いかもしれません。

でも、性教育は「性について詳しく教えること」だけではありません。

自分のからだを知ること。
自分のからだを大切にされる経験をすること。
自分の気持ちを大切にすること。
そして、自分も相手も大切にすること。

こうしたことは、特別な授業のように始めるのではなく、あかちゃんとの毎日の関わりの中から少しずつ育まれていきます。

今回は、助産師の立場から、「0歳から始める性教育」とはどういうことなのかを、できるだけ身近な子育ての場面から考えてみたいと思います。


現代の性教育は、特別な時間をつくって始めるものではありません

「性教育」と聞くと、

「性器について教えること?」
「妊娠や出産について説明すること?」

とイメージする方もいるかもしれません。

もちろん、からだの仕組みや性に関する正しい知識を学ぶことも性教育の大切な一部です。

でも、包括的性教育では、それだけではありません。
からだやこころ、人との関係、ジェンダー、健康、権利、安全など、性に関わるさまざまなことを、子どもの成長や発達に合わせて学んでいきます。

つまり、性教育は「性の話をする特別な時間」だけではなく、毎日の生活の中にある学びでもあるのです。

たとえば、あかちゃんのおむつを替えるとき。
「きれいにしようね」
「今からおむつ替えるね」
「気持ちよくなったね」
そんなふうに声をかけながら、あかちゃんのからだを丁寧に扱うこと。

これも、からだを大切にする経験につながっていきます。

なぜ「0歳から」はじめていくのでしょう?

あかちゃんは、毎日の関わりの中でたくさんのことを感じています

あかちゃんは、まだ言葉で「自分のからだは大切だ」と説明することはできません。

でも、

抱っこされる。
泣いたら応えてもらう。
おむつを替えてもらう。
嫌そうなときに少し待ってもらう。
やさしく声をかけてもらう。

そんな毎日の経験を積み重ねながら、少しずつ「自分は大切にされる存在なんだ」という感覚を育んでいきます。

もちろん、あかちゃんのすべての反応を「同意」として扱うという意味ではありません。

おむつ替えや清潔のケアなど、大人が必要に応じて行わなければならないこともあります。

大切なのは、あかちゃんをひとりの人として尊重しながら関わることです。

「からだを大切にする」って、どういうこと?

おむつ替えや着替えも、大切な学びの時間

あかちゃんのお世話では、からだに触れる機会がたくさんあります。

おむつ替え、着替え、沐浴、保湿、抱っこなど。

こうした場面で、
「おむつ替えるね」
「服を脱ごうね」
「おしりをきれいにするね」
と、これから何をするのか声をかけてあげる。

あかちゃんが言葉を理解できるようになる前から、こうした丁寧な関わりを積み重ねることは、自分のからだが大切に扱われる経験につながります。

「早くしなさい」ではなく、子どもの反応を見る

あかちゃんや小さな子どもは、言葉で気持ちを伝えられないこともあります。

顔をそむける。
泣く。
身体をよじる。
手で払う。

そんな反応も、その子なりの「今は嫌」「ちょっと待って」というサインかもしれません。

もちろん、必要なケアを途中でやめるということではありません。

「嫌だったね」
「ちょっと待とうね」
「終わったよ」

と、子どもの反応を受け止めながら関わっていくことが大切です。

「嫌」という気持ちも、大切にする

「嫌」と言えることは、自分を守る力につながる

性教育では、からだの知識だけでなく、自分の気持ちや意思を大切にすることも重要です。

「抱っこされるのが嫌」
「今は触られたくない」
「これは嫌」

そんな気持ちを表現したときに、

「嫌って言っていいんだよ」
「嫌だったね」

と受け止めてもらえる経験。

それは、子どもが自分の気持ちを大切にする土台になっていきます。

「嫌」と言ったら、いつでも全部やめなければいけない?

ここは、子育ての中で迷いやすいところです。

たとえば、おむつ替えや着替え、病院での診察など、子どもの健康や安全のために必要なことがあります。

そのため、

「嫌と言ったら、必ず何もしなくていい」

ということではありません。

大切なのは、

「嫌」という気持ちを無視するのではなく、
「嫌だったんだね」
「今からきれいにするよ」
「終わったら抱っこしようね」

と、子どもの気持ちを受け止めながら、必要なケアを行うこと。

「自分の気持ちを表現していい」
「大人は自分の気持ちを無視しない」

という経験が、自分を大切にする感覚につながっていきます。

「同意」を0歳から教える、ということではありません

「0歳から性教育」と聞くと、

「あかちゃんに同意を教えるの?」

と思われるかもしれません。

でも、0歳のあかちゃんに「同意」という概念を教え込むことが目的ではありません。

こころとからだの成長段階に応じて、少しずつ、

自分のからだは大切にされるもの
自分の気持ちを表現していい
相手の気持ちも大切にする

という経験を積み重ねていくこと。

そして、成長とともに「嫌なことは嫌と言っていい」「相手の気持ちも確認する」「自分と相手の境界を尊重する」といった、より具体的な学びにつながっていきます。

性教育は、こころとからだの成長段階に合わせて少しずつ積み重ねていくものなのです。

0歳から育てたいのは「自分を大切にする土台」

0歳からできる性教育は、難しい知識を教えることではありません。

たとえば、

「おむつ替えるね」と声をかける。
「嫌だったね」と気持ちを受け止める。
からだを丁寧に扱う。
子どもの「嫌」を頭ごなしに否定しない。
「あなたのからだは大切だよ」

というメッセージを、日々の関わりの中で伝えていく。

こうした小さな積み重ねが、子どもが自分のからだや気持ちを大切にするための土台になっていきます。

性教育は「今日からできること」から

「性教育をしなくちゃ」と考えると、少し難しく感じるかもしれません。
でも、特別な教材を準備しなくても大丈夫です。

まずは、今日のおむつ替えから。

「今から替えるね」
「きれいにしようね」
「終わったよ」

そんな一言から始めてみませんか?

性教育は、何歳になったら始めるものかを考えるよりも、
「今日から、どんなふうに子どもと関わろうか」
と考えるところから始められます。

まとめ

「いつから?」の答えは、今日から

0歳からの性教育は、あかちゃんに「性について教える」ことから始まるわけではありません。

まずは、

自分のからだを大切に扱ってもらう
自分の気持ちを表現していいと感じる
「嫌」という気持ちを受け止めてもらう
自分も相手も大切な存在だと知っていく

そんな毎日の経験から始まります。

性教育は、特別な授業だけではありません。

抱っこも、おむつ替えも、着替えも、沐浴も、声かけも。
子どもとの毎日の関わりの一つひとつが、自分のからだとこころを大切にする力を育てる時間になります。

「性教育って、いつから?」

その答えは、

「できることから、今日から」

なのかもしれません。

次回は「おむつ替え」から

次回は、もっと具体的に、

「おむつ替えから始める『からだの大切さ』」

についてお話しします。

毎日のおむつ替えを、親子の安心や「自分のからだを大切にする」感覚につなげていくために、どんな声かけや関わり方ができるのか。

助産師の視点から、具体的にご紹介したいと思います。

かりゆし助産院から

かりゆし助産院では、あかちゃんとの暮らしや育児のご相談だけでなく、**「からだと性を知り、自分らしく選ぶ力」を育てるための性教育・生と性のお話にも取り組んでいます。

「子どもに性のことをどう伝えたらいい?」
「いつから、何を話せばいい?」
「おむつ替えやトイレのとき、どんな声かけをしたらいい?」

そんな小さな疑問も、どうぞお気軽にご相談ください。

親子それぞれのこころとからだの成長やご家庭の状況に合わせて、一緒に考えていきます。

参考文献・資料

・UNESCO, UNAIDS, UNFPA, UNICEF, UN Women, WHO. International technical guidance on sexuality education: An evidence-informed approach (revised edition). 2018.
・文部科学省「生命(いのち)の安全教育」教材・指導の手引き(2026年3月改訂)